ここでは、著作物とはどういうものか、著作者はどのような権利を持っているのかなど、著作権制度の基本的な事柄について解説いたします。

1.著作権法で保護されるもの 2.著作権を取得するためには
3.著作者について 4.著作者と著作権者
5.著作者の権利の内容 6.侵害とみなされる行為
7.保護期間 8.著作権の制限規定






著作権法により保護される対象となっているものは「著作物」です。また、著作権法では著作物の他に、実演やレコード、放送、有線放送も著作隣接権制度というもので保護されています。

例えば、作詞家や作曲家という「著作者」による音楽作品は「著作物」として保護されますが、同時にその音楽作品を歌唱したり演奏したりする「実演家」や、その演奏の音をCDを生産するためにマスターテープなどの媒体に固定する「レコード製作者」、あるいはその演奏をラジオやテレビで放送する「放送事業者」などは、「著作隣接権者」として保護されているのです。

つまり、著作物を創造する著作者を保護するとともに、著作物などを世の中に伝達し、人々にその文化的価値を享受できるように創意工夫している者をも併せて保護しているわけです。シンガーソングライターなどは、著作者であると同時に著作隣接権者でもあります。

(1)著作物とは

ここでは、著作物についての説明をいたします。

著作権法では、第2条第1項第1号において「著作物」を「思想又は感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう。」と定義しています。人の思想や感情を表現したものであることが必要ですから、何年何月にどのような事件が発生したなどの事実や人口が何人だとか雨量はいくらといったようなデータは、それ自体としては著作物ではありません。

もし、このような事実やデータ自体が著作権の保護の対象になりますと、誰しも自由に本を書いたり講演したりすることができなくなり、人々の表現活動がむしろ阻害されます。

また、著作物であるためには、「創作的」に表現したものでなければならないのですが、ここでいう創作性は芸術的に高い評価を受け得るもの等のようなレベルは問われるものではなく、著作者の個性が創作行為に表れていればよいと解されています。

したがって、児童・生徒が書いた絵や作文なども法的保護を受ける著作物となり得ます。日頃あまり意識されておられないかもしれませんが、児童・生徒も著作権法上の権利主体になり得るという点に注意してください。

(2)アイディアは保護対象ではありません

著作権法の保護の対象は、客観的に思想や感情が表現されたものですので、その表現の素となったアイディアや着想はそれ自体としては保護対象ではありません。 アイディア等の保護は、非公開の営業秘密のようなものであれば不正競争防止法の保護対象となり、また、公開するものであれば特許庁の登録を受けて特許法等の保護対象となり得ます。

したがって、アイディア等の保護を図りたいということであれば、他の法制度について検討する必要があるということを覚えておいて下さい。

(3)著作物にはどんなものがあるか

著作権法第10条では、著作物の例示として次のようなものが掲げられています。 これはあくまでも例示ですので、これらの例示に該当しなくとも上記の著作物の定義の要件に該当すれば著作権法の保護対象である著作物となります。また、絵とストーリーや登場人物のセリフが合体した漫画のように、次に掲げる分野の複合的な性格を有する著作物もあります。

[1] 小説、脚本、論文、講演その他の言語の著作物
[2] 音楽の著作物
[3] 舞踊又は無言劇の著作物(振り付けを保護しています)
[4] 絵画、版画、彫刻その他の美術の著作物(書や漫画も入ります)
[5] 建築の著作物(芸術的な価値のあるものを保護しています)
[6] 地図又は学術的な性質を有する図面、図表、模型その他の図形の著作物
[7] 映画の著作物(ビデオソフトも入ります)
[8] 写真の著作物
[9] プログラムの著作物

学校では、上記のほとんどの種類の著作物が利用されていると思います。
また、全国には何万もの学校がありますから、著作物の一大利用市場としての性格も有しているわけです。それだけに、教職員が著作権に対して正しい認識を持ち、その上で児童・生徒に適切な指導を行うことが求められているのです。




例えば特許権を取得するためには特許庁に申請して、その審査を経た上で登録を受ける必要があることはよくご存知のことと思います。しかし、著作権の場合は、著作物を創作した時点で何等の手続きを要せず権利が発生し、法的保護の対象となります。これを「無方式主義」と呼んでいます。

著作権法を所管している文化庁でも登録事務を行っていますが、これは権利を取得するための制度ではなく、権利者の保護をより手厚くしたり、著作権の譲渡の際に権利関係を明確にしておくためのものです。

著作権登録機関などの名称で民間の機関などが、手数料を支払えば著作権を保護するための登録を行う旨の宣伝をしているという話も聞きますが、どのような内容のものなのか慎重に検討する必要があります。また、消費者教育の観点からも、児童・生徒に適切な指導を行うことが大切です。



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