1.授業のための複製の許容 2.複製できる主体 : 教育担当者と児童生徒
3.授業過程における使用目的 4.複製できる範囲等
5.同時授業のための公衆送信




授業で利用するため、他の書籍等から切り貼りしてプリント教材を作成する場合がよくあると思います。このような行為については、本来は複製権(法第21条)が働くわけですが、著作権法第35条第1項の規定により、学校その他教育機関において教育を担任する者とその授業を受ける者は、その授業の過程における使用に供することを目的として、必要と認められる限度で公表された著作物を複製することができることとなっています。

ここで、教育機関とは、小学校、中学校、高等学校、大学、高等専門学校、専修学校、各種学校のほか、公民館などの社会教育施設、教育センターなどの教員研修施設、職業訓練所などの職業訓練施設などであり、組織的・継続的教育機能を営む機関をいいます。営利を目的として設置されているものは除かれますので、私人の経営する予備校や塾、究極的には事業体の利益につながる会社等の職員研修施設などは該当しません。

この法第35条第1項の規定により具体的に許容されるケースとしては、例えば英語の授業において教科書の内容を深めるため、英字新聞の記事をコピーして配布することや、理科の授業において科学雑誌から論文をコピーして生徒に配布するようなことが考えられます。




この規定により複製を行い得るのは「教育を担任する者」とその授業を受ける児童生徒などです。

「教育を担任する者」とは、実際に授業を行う者でなければなりません。したがって、例えば教育委員会がまとめてプリントを作成し、管下の学校に配布するようなことは許容されていません。

児童生徒が複製を行う際には、全く自由に複製できるわけではなく、授業のために必要な限度で許されていることや、著作者の権利を尊重する重要性について十分に指導することが必要です。




次に、「授業の過程における使用に供することを目的とする」場合に限られていることに留意する必要があります。自分の担当するクラスの児童・生徒に配布することが一般的です。

ここで「授業の過程」とは、教科・科目の授業だけではなく学校行事やクラブ活動など特別活動も含まれます。しかし、授業とは関係のない場合は、たとえ教育目的のためであっても、本条による複製は許容されません。




複製できる範囲については、「必要と認められる限度」内であり、必要もないのに著作物の全頁をコピーしたりするようなことは許容されません。

法35条第1項ただし書きにおいては、「著作物の種類及び用途並びにその複製の部数及び態様に照らし著作権者の利益を不当に害することとなる場合」には複製が許容されないこととされています。

どのような場合が利益を不当に害することになるかですが、例えば、担当クラスの生徒数をはるかに上回るような大量部数をコピーするようなことや、市販のワークブックやドリル、CAIプログラムなどのように、本来的に学校の授業の過程における利用を目的として作成された補助教材を1部購入して生徒の数だけコピーするようなことは、明らかに権利者の利益を害するものであると考えられます。

一律な基準というものはありませんが、販売市場において売れ行きが低下するかどうか、将来的な潜在的市場に影響を与えるものであるのかどうかなどの観点から個別の判断が求められます。

なお、本条で複製が許容される場合、法第43条第1号の規定によって、著作物を翻訳、編曲、変形、翻案して利用することも認められています。したがって、海外の作品を翻訳したり、大部の作品を簡潔に要約したりすることができます。

また、法第48条第3号の規定により、出所の明示をする必要がありますので、プリント教材には著作者名や書籍名、出版社などの出典を明らかにしておきましょう。




法第35条第2項では、複数の学校間でネットワークを結んで同時授業を行う場合に、実際にその著作物を利用して授業している教室で見られ、聞かれる著作物が他の受信校の児童生徒に公衆送信されることが付随的に起こり得るため、権利者の利益を不当に害さない限りそのような送信が許容されています。



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